令和元年予備試験論文問題再現答案ー民事実務基礎ー
第1 設問1について
1 ⑴について
AY間の保証契約に基づく保証債務履行請求権
2 ⑵について
YはⅩに対し、200万円を支払え
3 ⑶について
①(あ)の債務について、保証するとの合意をなした。
②保証契約
③書面
④AはXに対し(あ)の債務を200万円で売った。
4 ⑷について
Xは本件訴訟の確定判決を債務名義(民事執行法22条1項1号)として、甲土地の強制競売を実施するために執行分付与(26条)の申し立てをなすべきである。
第2 設問2について
1 ⑴について
①譲渡禁止特約の抗弁
②債権譲渡がされたという請求原因事実と両立し、その法的効果を障害させる効果を生じさせるため。
2 ⑵について
乙絵画を所有していた
3 ⑶について
①必要である
②代物弁済(民法482条)は、本来の給付に代わるものであり。その目的物を引き渡すことが必要であるため。
第3 設問3について
①主張すべきでない
②民法467条1項は債権譲渡の対抗要件として債務者への通知を求めているところ、Yの主張によると債務者Bには通知がなされている。そのため、保証債務の附随性によりYにもその効果が及ぶ。
また、Yは保証人であり債務を負担する地位に有しないため、債務者にはあたらず、Yに対して通知をする必要はない。
したがって、Yの主張は、請求原因事実と両立するものの、その法的効果に何ら影響を生じさせないため抗弁にはあたらない。
第4 設問4について
1 本件借用証書は、金銭の消費貸借にかかる意思表示が記載されており、処分証書にあたる。そのため、形式的証拠能力が認められれば、特段の事情がない限り、実質的証拠能力が認めらえれる。
そして、以下のとおり、形式的証拠能力が認められ、特段の事情もないことから、Yが保証契約を締結した事実が認められる。
2 民事訴訟法228条1項において、文書はその提出者が真正に成立されたことを証明することが求められる。そして、同法4条において、本人の意思に基づいた押印があるときは、その文書が真正に成立したものと推定される。ここで、我が国においては、印章は厳重に保管されて他人が勝手に持ち出すことができないという経験則があるため、文書に本人の印章による押印が認められる場合には、本人の意思に基づきて押印されたことが推定される(事実上の推定)。
3 Yは本件借用証書に自らの印章があることは認められているものの、それはBにより盗用されたものとして事実上の推定を争っている。そして、事実上の推定は立証責任を転換させるものではなく、Yにより合理的な疑いを生じさせる程度の反証がなされれば、推定は破られる。
そこで、合理的な疑いを生じさせる程度の反証があったといえるのか問題となる。
⑴ YはBと幼少の頃から仲が良いと述べて、自らの大事なものを容易に見つけることができたと主張している。もっとも、現在に至るまで両者が密接な関係にあるとは認められない。
⑵このような関係のBがYがプライベートな空間である寝室にタンスの引き出しの中に厳重に保管している印鑑を見つけ出すことができたとは考えにくい。また、YはBが泊りに来た2泊の間で外出している際に印鑑を探し出せたと述べているが、このような短時間で印鑑を見つけ出せたとは考えにくい。
⑶Bは突然Yの家に泊まりに来ており、両者が幼少の頃からの知り合いだったことを踏まえると、BはYに保証人になることを依頼するために来たと考えるのが自然であり、Yを説得するために2泊を要したと考えるのが自然である。また、虚偽の供述をする必要性がないYの母親がYから保証の件を聞いていることからも、Yは自らの意思で保証をなしたといえる。
4 以上により、Yは合理的な疑いを生じさせる程度の反証をなしていないため、Xの主張は認められる。
自己採点(去年総合C、おそらく単体D)
B+
ちょくちょくミスはあるが、設問4が会心のデキであると考えているため。
感想
保証は、塾模試及びハイローヤーで的中。
ただ、民事実務は勉強すれば安定して高得点をとれる科目であるため、万全の準備が必要である。