昨年1.3点差で落ちた受験生の令和元年予備試験再現答案

平成最後の予備試験論文試験で後1.3点差で落ちました。忘れないうちに令和元年の予備試験論文再現答案を記録します。

令和元年予備試験論文問題再現答案ー民訴法ー

第1 設問1について

1 本件訴訟が固有必要的共同訴訟(民事訴訟法40条)であれば、X1およびX2が原告とならない限り、Yの主張のとおり、当事者適格を欠くものとして、本件訴えが却下されることになる。そこで、固有必要的共同訴訟の判断基準が問題となる。

⑴ この点について、訴えの提起は、敗訴すると当該目的物の処分をなしたことと似た性質を有するといえる。そのため、目的物の管理処分権限が複数人にある場合には、その全員によって訴えを提起しないと紛争の実効的解決を図れないといえ、固有必要的共同訴訟によるべきである。また、紛争の合理的解決という点から、訴訟法的要素も考慮すべきである。

⑵ 本件訴訟は、甲土地の売買契約に基づき所有権移転登記手続を請求しており、甲土地はX1及びX2の共有となっている。そうだとすれば、甲土地の管理処分権限はX1及びX2それぞれに認められているといえ、片方による訴訟提起によっては紛争の合理的解決を図ることができない。

⑶ したがって、本件訴訟は固有必要的共同訴訟である。

2 そうだとすれば、X1は本件訴訟の訴状がYに送達される前に死亡しており、固有必要的共同訴訟の当事者適格を満たしていないため、本件訴えは却下されるように思われる。もっとも、本件訴訟の手続は、争点整理手続終了近くまで進行しており、かかる状態の訴えを却下することは、訴訟不経済でありX2の期待を損なうものといえる。

 そこで、訴状送達前においても実質的な訴訟継続があったとして、当然承継(124条1項1号)を類推適用できないか検討する。

⑴ 訴訟継続は、二当事者対立構造が発生する訴状送達時に生じる。もっとも、既に訴えが提起されており、訴状が送達される前においても原告が弁護士と訴訟進行について打ち合わせする等していれば、実質的な訴訟継続が認められる。

⑵ 本件訴訟はすでに提起されており、X1はX2とともに本件訴訟の進行について弁護士と打ち合わせ等を行っていたことから、実質的な訴訟継続が認められる。

⑶ したがって、本件訴訟においては、実質的な訴訟継続が認められ、X1の死亡により、その相続人たるYがその地位を承継するため、当事者適格は認められる。

3 以上により、Yのかかる請求は認められない。

 

第2 設問2について

1 既判力とは、後訴における前訴の通用力ないし拘束力をいう。

そして、前訴の既判力は、口頭弁論終結前に現れた第三者にはその効力を生じない(115条1項3号参照)。そのため、前訴の既判力はZには及ばないのが原則である。もっとも、BはZと通謀し、前訴の確定判決を債務名義とする強制執行から逃れるために本件贈与契約をなしており、このような場合にも既判力が生じないとすると、紛争の実質的な蒸し返しとなり妥当でない。そこで、既判力を拡張できないか検討する。

⑴ この点について、既判力の根拠は、手続保障充足により自己責任を問える点にある。そこで、強制執行から逃れるために、訴訟の目的物を譲渡しており、その両当事者が実質的に同視できるのであれば、手続保障充足による自己責任を問えるといえる。

⑵ 本件では、Bは息子たるZと通謀し、強制執行を逃れるために甲土地の贈与契約を締結しており、BとZは同視できるといえ、手続保障充足による自己責任を問えるといえる。

⑶ したがって、既判力を拡張し、民事訴訟法115条1項1号を類推適用して、Zに対して既判力の効力を及ぼすことができる。

2 次に、Zは後訴において、X1らとYとの間で売買契約は成立していないと主張しているところ、既判力の効果によってかかる主張をなすことは許されないのではないか検討する。

⑴ 既判力とは、判決主文たる訴訟物にその効力を生じる(114条1項)。

⑵ そのため、X1らとYとの間で売買契約が成立していないとの主張は、前訴の矛盾となるものであり、既判力に抵触して許されない。

3 以上より、Zのかかる主張は認められない。

 

 

 

 

 

自己採点(昨年E)

頼む!D

設問1は概ねできた気がしたけど、気がしただけかもしれない。

そして、信義則と争点効を封じられたらもう何もできないよ。

 

 

 

感想

苦手な既判力は信義則でごまかしてしたけど、それを嘲るように封じてきた。

⑴ 既判力とは、判決主文たる訴訟物にその効力を生じる(114条1項)。

⑵ そのため、X1らとYとの間で売買契約が成立していないとの主張は、前訴の矛盾となるものであり、既判力に抵触して許されない。

なんだこれ。なんとも後味の悪い予備試験の終わりだ。

 

 

総括

昨年通り、民法と民訴に一抹の不安はあるものの、実務基礎を中心としたほかの科目が頑張ってくれたおかげで合格したものと推定される。

 

昨年の感触と照らし合わせると

憲法  B~

行政法 D~

刑法  B~

刑訴法 B~

刑実  B~

民実  B~

民法  E~

商法  B~

民訴法 D~

 

総合成績200位~300位くらいな気がする。

なお、一般教養は面倒で書かなかったけど、B以上は絶対ある。

セミのネット無料講座でバーテンのような怪しい風貌をした講師が話していた内容がそのままでたため。

「予備試験 一般教養論文 対策」とかで調べるとYouTubeで見れるのでお勧めです。